京都の桜も今が見頃。満開です。
時折吹く風が、桜の花びらを空に舞わせています。
桜を散らす意地悪な風。
人間にとっては意地悪に思えても、植物にとっては大事な役割を果たしてくれる風。
花びらを連れ去って実が成りやすくしたり、
種子を遠くまで運んだり。カタカナで書かれることが多いお花の名前ですが、
漢字で書かれると「風」が含まれている種類がいくつかあります。
その一つが、写真のお花、『ヒヤシンス』。
漢字で書くと『風信子』、もしくは『飛信子』。
ヒヤシンスは球根の多年草で、風で種子を遠くに運ぶ必要もないのに。
なぜその花に「風」という文字が含まれるのか、気になって調べてみました。
ヒヤシンスの名前の由来はギリシャ神話のヒュアキントスに由来しているそうです。
古代ギリシャで、ヒュアキントスは恋人のアポロンと一緒に円盤投げをしていました。
その楽しそうな様子を見ていた西風の神・ゼピュロスがヤキモチを焼いて、風を起こし、
その風によってアポロンが投げた円盤が軌道を変え、ヒュアキントスの額を直撃。
ヒュアキントスは大量の血を流し、亡くなります。
この時に流れた大量の血から生まれた花、それがこのヒヤシンス。
まさに意地悪な風がもたらした悲しい花。
ヒヤシンスの漢字名に風が含まれる意味が分かった気がしました。
風信子。
甘くふくよかな香りを放つ春の可憐な花が持つ衝撃のエピソード。
ちなみにこの登場人物はすべて男性という、これまた衝撃。
由来がどうあれ、とてもかわいい花なんです。
ピンクに青に白、紫やうす黄色、赤などたくさんの色があります。
私も大好きな花。
風と花の関係。
時に切なく、時に必然。
風に引き離されて、散ったとしても、そこから生まれてくるものがあると信じて。
もう意地悪だとは思わずに、穏やかに桜吹雪を眺めようと思います。
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