2011年6月25日土曜日

静かなるパッション。



驚くほど暑かった本日。
風が強かったので幾分ましではありましたが・・・。
いつもは節電を呼びかけるテレビでも、今日は冷房を入れるようにと言っていました。
節電で体を壊しては何もなりませんもの。皆様ご自愛ください。

さて、今日の写真の花は『トケイソウ』。
これから咲き始める夏の花。
まるで夜空を彩る花火のよう。
3つに分裂した雌しべをそれぞれ長針・短針・秒針に見立てたことが和名の由来。

英名はパッションフラワー。
その果実がパッションフルーツ。

パッションと言っても、情熱の意味はなく、
キリスト教の「受難の花」という意味。

花の中心にある柱を十字架、
3つに分裂した雌しべはキリストを打ち付けた釘、
その周りのひらひらしたところ(副冠)を茨の冠、
5枚の花びらとガクを合わせて10人の使徒、
などといったように、それぞれの花の部分をキリストの受難に当てはめていたそうです。
16世紀の宣教師が、この花を十字架上の花と信じ、
キリスト教の布教に利用したんだとか。
なかなか奥が深い。。。

トケイソウは、種類が本当に多くて、様々な色、形の花が存在します。
真っ白のものもあれば、目の覚めるような鮮やかな色合いのものまで。
どれをとってもすばらしく、芸術的。

花の持つ色彩には、はっとさせられて、ヒントをもらうこともしばしば。
特にトケイソウは、よく参考にしています。
ナチュラルでこれってほんとにすごい。
時間を忘れて覗いていたい自然のカレイドスコープです。


時計の針は、止まることなく進んでも。
何世紀の時を経ても。
どんなに時代が変わっても。

この花に感銘を受ける人間がいるということ。

キリスト教の宣教師ではないけれど。
調子に乗って言わせてもらうと、花の宣教師として。
トケイソウに心惹かれる私です。

いつの時代でも強烈な印象を残すパッションフラワーに、
情熱の意味は含まれていなくても、
静かなるパッションを感じずにはいられません。

自然が放つヒントを見落とさないように。

いつも心に情熱を。











2011年6月19日日曜日

尊敬の念。




蒲鉾屋の2代目で、
御神輿が好きで、
母のことが大好きな私の父。

誕生日と父の日が近いからといって、プレゼントを1つにまとめるとスネる父。
私の結婚式で、最後にいいとこ全部持っていった父。
どんなに遅くまで飲みに行ってても、次の日は夜明けとともに仕事に行く父。

日本三大祭の一つである祇園祭では、父の掛け声で錦の神輿が動きます。
担ぎ手ではないのに、最終的には我慢できずに担いじゃいます。
左肩と首の後ろに、信じられない大きさのコブがあります。

母が病に倒れてからは、したことのない家事を進んでやってくれています。
そして、常に私のことを気にかけてくれています。

そんな人一倍タフだと思っていた父が、今年の春に1週間の入院。
それ以来、何十年も吸っていたタバコを、すっぱりと辞めました。
そのせいでお腹が出てきたから、ご飯はお茶碗半分にして!と言う父がかわいらしい。
その前に、何にでも醤油をつけて食べるのをやめなさい。

いつまでも元気で豪快な父でいてほしいから。

好きなことに全力で、大事なものをしっかり守るその姿勢。
その背中を見て育ってきたことを誇りに思います。
偉大なる父に尊敬の念を。

これから先も、父が作る蒲鉾が日本一だと思っています。

今日は父の日。
皆様、素敵な休日を。









2011年6月17日金曜日

この手を伸ばして。







ブログ更新に少し時間が空いてしまいました。
1週間ぶりの更新です。
この1週間、私の思考回路は止まったり、めまぐるしく動いたりで、
私自身、少々疲れておりました。

重苦しい湿度と、分厚い雲の曇り空も少し影響していたのかもしれません。
困惑したり、憔悴したり。
だけど、このままでは何も始まらないから。
打ちのめされても立ち上がって、
突然吹っ切れるという特技。いいのか悪いのか。

昔みたいに、夢だけで突っ走れる環境ではなくなったけど。
それと引き換えに、私は計り知れないほど大事なものを手にしました。
手を差し伸べてくれる人たちが、たくさん周りにいてくれることも教えてくれた。

年齢も生活も、全て含めて考えたこの1週間。
その答えを、いつかちゃんと形にして皆さんに報告できるように。
その日まで、大きく手を振って歩いていこうと思います!

さて、今日の写真。
アーティチョークとヤツデのアレンジ。

ヨーロッパではアーティチョークのツボミは食用として流通しています。
日本でも時々見かけますが、ヨーロッパほど普及していません。
ベトナムでは乾燥させてお茶のようにして飲まれるそうです。
和名はチョウセンアザミ。
直径10cm〜15cmの花は、独特の風合いで、
固い総苞片に包まれた花は柔らかな紫色で、とても魅力的。

『ヤツデ』は別名『テングノウチワ』。
天狗が手に持っているあの葉っぱ。
葉っぱが手のひらの様に裂けていて、漢字では『八つ手』と書きますが、
8枚に裂けることはなく、7枚か9枚。必ず奇数に分かれています。
なのになぜか『八つ手』。
日当りの悪いところでもよく育ち、丈夫です。


どんな環境でも、順応したり、工夫したり。
植物も、人間も。
きっと上手くやりこなすことができるはず。
だけど人間は、手に負えない物にまで手を出すから。
だから今、次の手を打たなくてはいけない。
ちっぽけな私には、何もできないかもしれないけれど。
もし原発の国民投票があるなら、
迷わず「反対」に手を挙げるのに。

そして私は、
これからも、どんな時も、自分の手で、丁寧に花を紡ぎながら、
未来へとこの手を伸ばし続けたいと思います。










2011年6月10日金曜日

熱いエネルギー。




怪しげな植物がひしめくアレンジ。
熱帯のジャングルをイメージしてお作りし、
お客様のご自宅にお届けしました。


ニゲラ、アナナス、グレビレア。
恐竜みたいな名前の花たち。


写真下段。
緑の毛が生えたような球体の植物は、『フウセンポピー』とも呼ばれる『ニゲラ』の実。
右下端の『アナナス』は、パイナップルの仲間です。
中央上部の赤い花が『グレビレア』。葉っぱの形もとてもいい。


どの花からも熱気とエネルギーが伝わってくるような、力強い魅力に引き込まれます。


とりわけ、乾いた大地に根を張って生長し、
たくましく生きるネイティブフラワーたちの姿勢は、
私も負けてられない!という気持ちにさせてくれます。


そして私の周りには、そんな魅力を持った人たちもたくさんいるのです。
みんなそれぞれ進むべき道を進んでる。
特にこの1年は、久しぶりの友達に偶然会ったり、
連絡をもらったりして、たくさんパワーをもらいました。
本当にどうもありがとう。
ちょうど先日も、そんなことがあったから。


そして、私は。
花からも、周りの人たちからも、
たくさんのパワーをもらって、乾いた道を歩きます。
油断してぬかるみに足を取られたとしても。
小石につまずいて足を挫いたとしても。


今まで踏み出せなかった一歩を。


言い出したらきかない私の性格は、私が一番知っている。
言い出したからには責任を持って、その道の先へ。


心が折れそうなときも、心が洗われるような日も。
いろんな経験を積みながら。
いつか私も、花に負けない熱いエネルギーを携えた、
そんな花屋になりたいです。




昼はぐったりするほど湿度の高い毎日ですが、
夜は気持ちのいい風が窓から入ってきています。


皆様、良い夜を。そして良い夢を。


http://www.studio2065.com

2011年6月4日土曜日

青い方舟。




今の季節にとても似合う涼しげなアレンジ。

梅雨の晴れ間の日差しから守ってくれる日傘のよう?
それとも、夕立ちが通りすぎるのを雨宿りしながら待ってるみたい?

方舟に乗ったような花たちに、
ほぼ直角に曲がった枝を大胆にあしらって。
とても印象的なアレンジに仕上がりました。


青いアジサイと青いテッセン。
そして枝は深山南天(ミヤマナンテン)。

この深山南天。
最近は出回る量がめっきり減っています。
理由は獣害。
鹿の大好物なんだそうです。
その上、栽培するのに年月がかかるので、入荷量が少なくなっているとのこと。
何年後かには、入手困難になっているかも。。。
葉も枝振りもとてもかわいいので残念です。


そんな植物の地球最後の日に備えて、重要な種子を冷凍保管する施設が
ノルウェーのスバルバル諸島にあるのをご存知でしょうか。
昔想像した「近未来の世界」のような施設。

絶滅危惧植物だけでなく、人間が生きるために必要な小麦やお米などの種子が
気候変動や戦争、その他の天災、人災によって消滅してしまわないように。

ノルウェー軍も含め、全ての軍隊が侵入できない条約に保護された島にあるこの施設。
100以上の国々とロックフェラーなどの財団、
そしてビル・ゲイツ氏らの支援によって創られました。
なんだか、地球の未来を握ってるみたいで、初めて知ったときは少し怖かった。

植物のノアの方舟。

確かにこの施設は凄くて、重要なのは分かるけど。
保存された種子を使わなければいけないような状態にもし世界がなったら。
そんな世界に人類は存在できるのかしら。。。
なんて考えだすと、寝れません。


摘み取られた花を扱う仕事をする以上、なんらかのカタチで恩返しができれば。
生意気ながらに、そう思います。

とりあえず、今の私に出来るのは、与えられた花の魅力を存分に活かして活けること。
敬意と感謝を込めながら。
花にも、お客様にも、喜んでもらえるように。
常にその気持ちを忘れずに、お花をお届けしていきます。
これからもstudio2065をよろしくお願い致します。







2011年6月2日木曜日

ネムノキの下で。




家の近くにある大きな公園の『ネムノキ』。
マメ科の落葉樹。

夜になると眠るように葉が閉じるネムノキは、
京都では『眠りの木』と呼ぶ場合もありますが、
正式に漢字で書くと『合歓の木』。
ネム=眠いではなく、合歓。

なぜこの漢字が当てられたのかというと、
葉が重り合って眠りにつくような様を、男女が添い寝する様子に見立てたから。

重なり合う歓び。
それで合歓。

なんてウィットに富んでるの。
意外とアダルティーな由来にちょっとニヤリ。
中国ではこの木が夫婦円満の象徴とされているそうです。

上段の写真のように、フワフワしたかわいい花を咲かせます。
花の色は種類によって、白や赤やピンクなど。
山に行くと、花が枝いっぱいに咲いて、
シャボン玉に飾られているようなネムノキに出会うことも。

最近では『エバーフレッシュ』という名前で、
観葉植物としてよく出回っています。
枝の形もくねくねと曲がっていたりと面白いので、
いい枝振りのものと出会ったら、即お買い上げされることをオススメします!



早いもので昨日から6月。
水無月です。
天から水が無くなる月。
雨降りの毎日が続いております。

天気がいい日は、公園の合歓の木の下で。
重なり合っての添い寝は無理だけど!
サンドイッチとワインを持って。
グラスを重ねて乾杯するのもきっと楽しい6月の始まり。

どうぞ皆様、気分は晴れやかに。
素敵な1日を。