この時期、もっともよく目にする実のひとつ、『サンキライ』。
漢字で書くと『山帰来』。
本名は『サルトリイバラ』。
お猿さんが引っかかって捕えられるほどのトゲがあるから『猿捕茨』。
でもユリ科。それは知らなかった!やはり日々勉強です。
もともと『山帰来』は、中国の違う植物の根茎で作られた漢方薬の名前だそうです。
でも日本では同じ科の『サルトリイバラ』が民間薬として使われていたので、
『サンキライ』と呼ばれるようになったとか。
大学生の頃、私は山に登って樹木を勉強するというゼミを取っていました。
週一回、教授と一緒に京都の小さな山に登っては、
大きな木を見上げたり、落ち葉を拾ったり。
その時初めて見た、自生している『サンキライ』の姿がとても印象深かった。
かわいらしいイメージの赤い実と、
とても無骨で荒々しい黒い枝のコントラストが強烈で。
今でも時々行きたくなります、山登り。
そのゼミは本当に楽しかったのですが、
最後の授業で奈良の春日山に登ったら。
教授が道を間違えて、幅10cmほどの道とは呼べない岸壁を歩きながら、
あんなになだらかな山で遭難寸前になったことが一番印象的。
今となってはいい想い出。
ドライになっても色あせない鮮やかな赤い実は、
クリスマスからお正月にかけて、大活躍します。
『サンキライ』の枝を輪にするだけで、ちょっとしたクリスマスリースになるし、
ツリーアレンジやお正月のお飾りにもこの赤色がとても映える。
だから、『サンキライ』を見ると、もう年末の気分になる人も多いはず。
私もその一人ですが、今回は、まだクリスマスには早いので、
赤でまとめた秋らしいアレンジに。
『サンキライ』の枝振りをそのまま活かしてお作りしました。
早々にクリスマスモード一色になるのも、悪くはないけれど。
一瞬で通り過ぎてしまう大好きな秋をもっと楽しんでいたいのです。
少しでも長く深く。
秋の夜長に追憶を辿れば。
色あせない赤い実と、色あせない想い出が、
時々山にも帰って来いよと呼んでるような気がします。
でも山ガールではありません。