2011年8月28日日曜日

底力もどき。




『ウメ』の葉に似ている『ウメモドキ』。
その『ウメモドキ』に似ているから『ツルウメモドキ』。
「もどき」からの「もどき」。ややこしい。

今夏最後の『スモークツリー』と、秋の訪れを伝える『ツルウメモドキ』。
夏から少しずつ秋に向かっていると感じる今の季節は、花でも同じ。
四季の移ろいを花で感じるこの仕事。
とても贅沢なことだと思います。
春の花もいいけれど、秋の実ものもとても好き。
今からの時期、たくさんの実が登場します。

写真の枝が、『ツルウメモドキ』。漢字で書くと『蔓梅擬』。
しなった枝に実がたくさん付いています。
熟してくると、実の皮が剥け、中にはオレンジ色の種子。
オレンジ色になると、より一層秋ぽっく、暖かみのある枝に。

先の方のしなやかなツルは、丸めたり絡めたりできるので、
とても動きのあるアレンジに仕上がります。
根元の方はわりと太い木になっているので、
大きなアレンジでもしっかり安定するので安心です。

『ツルウメモドキ』の他、植物には「もどき」と名に付くものが色々あります。
『クロウメモドキ』や『サフランモドキ』、『タチバナモドキ』など。
どれもみんな、元々の名前の植物に似ているから。
でも全然ちがう種類だったりするんです。
元々の花より魅力的だったりするんです。

誰でもみんな。
何かや誰かの「もどき」だなんて言われたくはないけれど。
言われたわけでもないけれど。

「もどき」と呼ばれても、惹き付ける魅力があったらそれは、
もう「もどき」じゃないからね。
「もどき」のおかげで、元々の名前の植物を知ったりね。

なんだかそういう、底力的な。
目も向けてくれなかった人の目も奪うくらいの。
突き破って、突き進むエナジーが。
今とても欲しいです。

とりあえず、今ある底力もどきを振り絞ってみます。
















2011年8月20日土曜日

大きな栗の木の下で。




今日の主役は『栗』。
いわずと知れた秋の味覚。
真夏のこの時期は、写真のようにまだ青々としたイガに包まれています。
実が熟すと、先端からイガが割れ、中から果実が顔をのぞかせます。

栗の食べれる部分は、子葉(芽生えの時の双葉)という部分で、
澱粉をたくさん含んでいるそうです。
なんとなくお芋っぽいもんね。

『栗』といえば、皆さんは何を思い出しますか?
パリの焼き栗?モンブラン?
それとも栗ごはんや、天津甘栗??
栗の独特の甘みは、大好きな人も多いはず。
料理やデザートに『栗』を使ったメニューはたくさんあります。
その中の一つ、マロングラッセも『栗』のお菓子。
だけど、このマロングラッセの『マロン』は、
もともと『マロニエ』の実のことだったんですって。

『マロニエ(marronnier)』の実=『マロン(marron)』。
それで作ったのが、本当の「マロングラッセ」。
それがいつしか、『栗』の実で代用するようになり、
『栗』が『マロン』と呼ばれるようになったんだとか。
見た目も少し似ているから?

『マロニエ』は『マロン』の名前を『栗』に譲ったんですね。
『マロニエ』はそれで納得してたのかなぁ。
『栗』もそれで本当に良かったのかなぁ。
「マロングラッセ」に代用されなければ、『栗』はなんて呼ばれたんだろう。
などと、一人思いを巡らせております。

美味しければ、その実が『マロニエ』でも『栗』でもいいじゃないか。
と言う人もいるかもしれないけれど。
それはやっぱり違うんだ。
うまく言えないけれど。

なんとなく今夜は秋っぽい。
『栗』が旬の季節までもう少し。
その時は、皆様にも、私にも。
日本中に実りの秋が訪れていますように。

大きな栗の木の下で
大きな夢を
大きく育てましょう
大きな栗の木の下で





2011年8月13日土曜日

送り火の夜空に。




写真のお花は、どことなくお盆を意識して活けた花瓶への投げ入れ。
お客様のご自宅を、少しエキゾチックなスタイルに。


もうすぐ京都は五山の送り火。大文字。
夏の夜空を炎が照らします。
祇園祭に並ぶ京都の夏の風物詩。

お盆が過ぎたら、戻ってきていたご先祖様の霊を送り出すための儀式。
今年は被災地の松を薪に使うかどうかで一悶着ありました。
使う、使わないで二転三転し、結局セシウム検出でやっぱり中止。
中止したことでなぜ京都の信用が失墜したと言われるのか私には分からないんですが。

被災地の方の思いも、京都市の思いも無駄になったとは思いません。
遺族の方々の、被災地の皆様の、思いと祈りを天まで届けるために。
その思いは変わってないと思うから。

放射能がもたらす被害は、健康面だけじゃなく、
こういうところにも出てくるんだな、と実感した出来事でした。

いつも以上に願いを込めて。
個人的にも、今年はいつもより強く祈ります。
ちらちらと揺れる大の字の灯に。
思いを託した送り火の夜空に。
ただただ無事に執り行われますように。

今週は、プライベートでわくわくしたり、そわそわしたり。
ドキドキしたり、メソメソしたり。
悲しんだり、喜んだりで忙しかった。
受け止めきれないことも、受け入れなきゃいけないし。
そのタイミングで、前に進む力をくれる宝物が届けられ。

がんばれ。という言葉が、
言葉にはなってなかったとしても、
とても深く、温かく感じる今日この頃です。

皆様はどんな夏をお過ごしですか?
まだまだ夏は続きます。
皆様、かけがえのない夏の日を!













2011年8月10日水曜日

願えば叶うペッパーベリー。




茹だるような暑い毎日。
青や黄色の爽やかな色もいいけれど、
ここはあえて、鮮やかなピンクのアレンジを。
双子ちゃんが誕生したお友達へのプレゼント。

暑い季節はどうしてもお花の持ちも短くなります。
出来るだけ長い間楽しんで頂けるように、長持ちする花をセレクト。

ピンク色のつぶつぶした実は『ペッパーベリー』。
別名『コショウボク』。
本物の胡椒ではありませんが、ほんのり胡椒の香りがします。
このピンク色は人工的な色ではありません。
熟すと自然にこのピンク。
熟す前はキレイなグリーンです。

市場に出回っているのはほとんどこの熟した色のペッパーベリーで、
ドライフラワーのような状態で入荷してきます。
ドライになっても鮮やかな色が残るので、リースやアレンジにとても重宝します。

このこっくりしたピンク色がとても好きで、
私のアレンジにはよく登場します。

今でこそよく出回っていますが、
私が花屋の仕事をしだした頃は、本の中でしか見たことが無い存在でした。
本を眺めながら、一度は使ってみたいと思っていた花材。
その反動か、今はあれば必ず仕入れてしまいます。

本でしか見たことの無い植物は今でもあります。
地方の市場にはなかなかまわってこなかったりするので。。。

初めて本物を手に取った瞬間のわくわく感!
これからもどんな出会いがあるか楽しみです。

いろいろ思い描いて、わくわくしたり。
初めてのことには、ドキドキしたり。

ふしぎと力が湧いてくるように。
あらゆる思いがこみ上げてくるように。
いつまでも、とどまることなく。
とめどなく。

さまざまなイメージが浮かんでくるような。
ときには想像を超えるような。
みんなが幸せになるような。


私にとって、それは花。

予想だにしないことがあったとしても。
きっと大丈夫。


双子ちゃんのママとパパに。
最大級の祝福を。

願えば叶う。
私もこれから、もっともっと。
もっとがんばります。
みなさま、応援よろしくお願い致します。


2011年8月3日水曜日

信頼の灯。




幼い頃、よく遊んだ記憶がある『ホオズキ』。

オレンジ色の袋をめくって、スカートに見立て、
手足を作って、中にある実に顔を書きお人形さんにしたり。
実から種を取り除き、口の中で音を鳴らす、いわゆる「ホオズキ笛」を作ったり。

子どもが笛を鳴らすために頬を突くから『頬突き』=『ホオヅキ』、
という説もあるそうですが、定かではありません。

漢字で書くと『鬼灯』。
中国語で「小さな赤提灯」という意味。
日本の仏教では、『ホオズキ』を先祖の霊を導く提灯に見立てて、お盆の時期に飾ります。
ご先祖様が帰る場所まで迷わないための灯。

今回は塾を経営する友人からの依頼。
塾に通う子どもたちに少しでも興味を持ってもらえますように。
見ていて楽しく、花が枯れた後も『ホオズキ』で遊んでもらえたら、
と思ってお作りしました。

ちなみに写真左下、小さな実は『アロニア』。
熟した実をジャムなどにして食べます。
目にすごくいいんだって。
勉強で疲れた目を少しでも労ってね!という思いを込めて。

彼の塾では、子どもたちと真っ正面から向き合って、怒るときは厳しく怒ると聞きました。
入塾の際に親御さんに了承を得るそうです。

もちろん勉強もしっかり教えるけれど、
彼はそれ以外のもっと大事なことをきっちり伝えている。
すごく熱血に。
そう感じます。

妙に大人びて冷めた子どもや、
モンスターペアレントと呼ばれる大人がいる世の中で、
なかなかできることでは無いと思います。

しっかりした絆と、信頼関係が築かれている証。

生徒はそういう先生の言葉を大人になっても思い出すはず。
少なくとも私はそうです。

密に人と向き合う仕事なだけに、
大変なこともたくさんあるんだろうけれど。
いつも笑って乗り越えるタフな友人。

子どもたちや、その親御さん、そして他の先生方。
周りの人と彼との絆は、
これからもずっと消えることなく。
灯り続ける信頼の灯。

子どもたちが迷わないように。
その灯で照らし続けて欲しいと思う。

陰ながら応援しています。