2011年5月30日月曜日

初志貫徹。




写真の空は、ちょうど1年前の今日。
2010年5月30日の空。
その日は、抜けるような青空の、それはそれは気持ちのいいお天気の一日でした。
今までの私の人生において、
忘れられない日というのはいくつかありますが、この日もそう。
私の名字が変わった日。 
今日で結婚1周年。
出会いから丸10年となる節目の年でもあります。
この1年はいつもより長く感じました。

まだまだ未熟な私たち夫婦を、
いつも温かく見守ってくれている家族や友達に心から感謝です。
そして、いつまでも大人になりきれない私を、
支え、誰よりも応援してくれる夫に、最大級の愛と感謝を。

1周年の今日は雨。
人生の晴れの日も、雨の日も、どんな時もいつも一緒。
台風の日だって、笑って過ごせる2人です。

初めて会ったあの日から。
本当に、本当にいろんなことがあったけど。
そしてこれからもきっと。
予想だにしないことがあったとしても。
大丈夫。

2065年の空を夫婦で見たい。
長生きする気満々です。

2065年。 
結婚55周年となる年。  
あと54年しかないのか。。。
まだ1年目だけど。 

2065年。 
チェルノブイリの除染作業が終了予定の年。 
まだ54年もあるのか。。。
もう25年も経つのに。 

どう感じて生きていくかは、自分次第。

2065年まで生きていたら、
自分たちの歩んだ道を振り返って、夫婦で笑い合えればいいな。
なんてことを思う、雨の記念日。

常に初心を忘れず、初志貫徹。 

至らないところも多々ある私どもですが、 
気持ちを引き締め、さらに精進していく次第です。
これからもstudio2065をよろしくお願い致します。 

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2011年5月28日土曜日

煙の如し。




ちょうど2ヶ月前、京都のとある場所で、
偶然、俳優の山本太郎さんをお見かけしました。
その時、私はびっくりして ありきたりなことしか言えなかったのですが。。。
今日、所属事務所を自分から辞められたことを知りました。
あの時、快く握手してくださり、明るく「ありがとう!」と言ってもらったことを
思い出すと、胸が痛みます。
自分の発言や行動を煙に巻くようなことばかりするどこかのお偉いさんたちなんかより、
よっぽどすごい人だと心から思います。

さて、今日の花。

この植物が出回りだすと、もうすぐ夏がやってくる合図。
もうそんな季節になってしまった。

今からの時期、煙のような綿毛が覆う『スモークツリー』。
大きな綿菓子のようにも見えるその姿は、とても不思議。

名前の由来にもなっている煙みたいなフワフワしたものは、
花ではなく、花が終わったあとに伸びてくる花柄。
和名は『ケムリノキ』、『カスミノキ』。
また、この木の果序を、僧侶が持つ払子(ほっす)に見立て、
その払子の材料がハグマ(牛の一種)の尾の毛であったため、ハグマノキとも呼ばれます。 
ウルシ科の植物なので、葉や幹を折ると白い樹液が出てくるのでご注意を。
かぶれる人はかぶれちゃいます。 
  
写真上段。
スモークツリーに白い大きなダリア・マルコムズホワイトを合わせて初夏のブーケ。
下段はそれに紅いシャクヤクを足して、和装にも合うブーケに。


形も色も、スモーキー。
渋くくすんだ色が、シックで落ち着いた雰囲気を醸し出してくれます。

スモークツリーの煙の世界。
幻想的な煙に巻かれるのは夏の一瞬だけ。
煙の如し、はかなく消えます。 

いつまでも消えないのは。 
責任逃れの保身の煙と、
未来を脅かす見えない煙。

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2011年5月26日木曜日

いずれがアヤメかカキツバタ。




どれも素晴らしく優劣付け難い、という意味の慣用句。

「いずれがアヤメかカキツバタ」。

また、見分けがつきにくい、という意味にも用いられます。

写真中央。紫の花。
アヤメ?カキツバタ?

いいえ、これは『ハナショウブ』。

これら3つの花は、とってもよく似ています。
みんなアヤメ科アヤメ属。
だから混同しがちですが、違う花。

ちなみに、端午の節句に入る菖蒲湯の『ショウブ』は、『ハナショウブ』とは違います。
『ショウブ』の葉に似ているから付けられた名前が『ハナショウブ』。

「菖蒲」って書いて、「ショウブ」とも「アヤメ」とも読めるので
とてもややこしいのですが。。。

このアヤメ属。英語での学名は『iris』。
ギリシャ神話の虹の女神、Irisに由来しています。
水と柔らかな光が似合うこの花たちには、虹の女神の名がぴったり。

今回のアレンジ。
ハナショウブにシャクヤクとサンゴアナナスという原色の花を合わせて。
イメージしたのは湿原のビオトープ。
いきいきとした生命力が満ち溢れているようなフィーリングで。

鮮やかな色をした花たちの競演。
どの花たちもはっとするほど美しく、とても優劣付け難い。
いずれがアヤメかカキツバタ。ってね。

さて、今日から京都も梅雨入りです。
irisの花がとてもしっくりくる季節。
どんよりした曇り空が続いても。
雨上がりの雲の切れ間に、
虹の女神がいたりして。。。










2011年5月21日土曜日

赤い宝石。




近所の空き地に、たわわに実っているサクランボを発見しました。
そんなにいい土壌でもないし、根も半分浮き上がっている状態なのに。
細い枝がしなるほどたくさんの赤い実がぶら下がって、ちょっと重そう。
そしてとってもおいしそう。
でもたぶん食用の桜の種類じゃないから、きっと酸っぱいんだろうけど。

酸っぱくったって、
この木にとっては、
この実は宝石。

ひとつでもたくさんのたねを、
鳥に運んでもらえるように。
どこかの街まで。
違う街で、同じ桜がいつか咲くかも!

お花見シーズンはちやほやされた桜の木の、
とても健気に、一生懸命果実を付けるその姿。
精一杯、努力をしているように私の目には映りました。

なんだかつくづく、私なんか、ほんとまだまだだなぁ。
整った環境じゃなくっても、もっと努力すれば、できることが広がるのに。
スキルも知識も。
感性も人間性も。
全然足りてない。
もっともっと努力しなくては。

そうすれば、誰にだって、
いつか実を結ぶ日がきっと来るはず。

その実を結ぶのは自分自身で自分次第。

心は折れないように、しなやかに。
この桜の木のように。

サクランボは、赤い宝石、努力の結晶。


2011年5月19日木曜日

立てば芍薬。




立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
美しい女性を言い表す言葉。

シャクヤクは、ボタン科の多年草。英名はピオニー。
特に一重のシャクヤクはボタンの花によく似ています。
ボタンが「花王」と呼ばれるのに対し、
シャクヤクは花の宰相、「花相」と呼ばれます。

ボタンが樹木であるのに対して、シャクヤクは草であるということが
大きく異なる点です。

八重咲きのシャクヤクは幾重にも花びらが重なり、
その姿は優美で可憐でありながら、貫禄があります。
私も本当に大好きな花。

名前に「薬」と入っている通り、
シャクヤクは昔から、その根が漢方に用いられています。
みなさんご存知の「葛根湯」とかね。

他に、婦人病に効く漢方にも、シャクヤクが用いられているそうです。
もちろん、婦人病の効能がある要薬だからですが、もう一つ。

冒頭の表現、「立てば芍薬」。
この生薬を服用する女性が、
シャクヤクの花のように、晴れやかで美しくなるように。
そんな意味が秘められているんだって。

なんだか、とっても粋です。

シャクヤクのツボミは固く、開き始めるまで時間がかかります。
焦らすに焦らして、咲き始めると、誰もが虜。
ほんのりピンクの色白美人のシャクヤクは、美しく華やかに咲き誇ります。
満開になって、思わず手に取ると。
数百枚もの花びらを一気に落とします。

散るときは、潔く、大胆に。

やっぱりとっても粋な花。

シャクヤクが今、見頃を迎えています。





2011年5月17日火曜日

想い出はシャーベット。


シャーベットカラーが似合う女の子、
そんなイメージで・・・というご注文でお作りしたブーケ。
退職される方へのプレゼント。

ただ淡い色だけでは寂しいので、
アマランサスで遊び心を。

シャーベットが少し溶け出して、ちょうどいい感じ!のイメージです。

使った花材は、先述のアマランサスの他、
アスチルベ、ユーカリの葉っぱに、メインはシャクヤク。
その他にも数種類、いろんな色を組み込んで。
あくまでスウィートに。
シャーベットなだけに。
女の子らしく、とてもかわいく仕上がりました。

私も前の花屋を辞めてもうすぐ丸1年。
何度も遊びには行っているけれど。

働き慣れた場所を卒業するのは、名残惜しいもの。
そして、とても勇気のいること。

だけど、新しい扉が待っているから。

楽しく甘い思い出も、失敗して苦い思い出も、
最終的には程よい酸味で後味すっきり。

例えばそれは、
最後の締めのシャーベット。
後々それが効いてくる。

笑顔で見送られて、笑顔で卒業。

ブーケ、喜んで頂けて何よりです☆
  







2011年5月15日日曜日

花の命は短いけれど。




気がつけば、もう5月中旬。
春気分もそろそろ終わり。
先日の降り続いた大雨とは打って変わって、
京都は連日気持ちのいいお天気が続いています。
5月の雨降りは好きだけど、あれは降り過ぎた。

さて、今日のアレンジは、以前にもブログで紹介した美容室『うわのそら』さんに
先日お届けしてきたものです。
姫ゼンマイとキウイのツルで動きを付けて。
初夏を感じる風を受けて、気持ち良さそうに伸びをしているみたいです。

写真中央のあたりに写っているボールのようなもの。
それは『スカビオサ』という花の咲き終わった後の姿です。
タンポポでいう綿毛。

『スカビオサ』という名前は、
皮膚病の一種「カイセン」という意味のラテン語である「スカビエア」に由来します。
スカビオサは、皮膚病に効く薬草として使われていたことから、
この名前がついたと言われています。

日本名は『マツムシソウ』。
花が終わった後のその姿が、仏具の伏鉦(ふせがね)、
俗称「松虫鉦」に似ていることから名付けられた、という説と、
松虫の鳴く頃に咲くから、という説があります。
どちらの説も、昔から日本で親しまれてきたということがうかがえます。

ちなみに、お花屋さんに売っているスカビオサは、『セイヨウマツムシソウ』という種類。
私が今まで紹介してきたアレンジの中にもよく使っています。

切り花の状態からではなかなか難しいですが、
花が散っても楽しませてくれるスカビオサ。
花から変身。
清楚な花と、そのあとの姿のギャップがたまりません。
なにより絶妙な色合いはとても重宝します。

ふわりとした浮遊感を醸し出す独特な存在。
その姿はとても涼しげです。

花の命は短いけれど。
花は散っても、違う魅力が現れてくるもの。
スカビオサのように。

私も、その時その時を楽しみながら変身を遂げてゆければ。
とても素敵なことだと思います。











2011年5月11日水曜日

アマランサスの雨。




昨日から京都はずっと雨が降っています。

新緑光る5月の雨降りは嫌いじゃない私。
5月の雨上がりが好きだから。
なんだかさっぱりする気がするので。
そして一層新緑が光る気がするので。

降りしきる雨としずくのイメージを、
アマランサスとグリーンベルで。

巻き付いたり、ぶら下がったり、
流れるような線を作っているのがアマランサス。
黄緑色のモールみたい。
またの名を『ヒモゲイトウ』。
そして種子は『ヒユ』という穀物です。
インカ帝国の時代から食されていたといわれています。
このアレンジで使ったのは1本のアマランサス。
一つの茎に、たくさんの長い紐状の花が付いています。

グリーンベルは雨のしずくのような、小さな花。
緑色の風船みたいな形をしているのは花ではなく、ガク。
またの名を『フウリンカ』。
目立たないようでいて実は、アレンジの空間を効果的に形どっています。
そういう働きをする花を、専門用語でフィラフラワーと呼びます。
まぁそんな呼び方、使ったことないですけど・・・。

今回のアレンジもお客様のご自宅用。
緑色の花をメインに、アクセントに少しだけ紫。
インパクトのあるアレンジに仕上げました。

お届けにあがる道中で目にしたのは、
山あいに自生しているフジの木々。
霧雨にかすむその森は、幻想的で見とれてしまった。
今回のアレンジに少しリンクして、ちょっと嬉しかったです。

雨がもたらすのは自然の恵みと美しさ。
どうか、これからもずっとそうであってほしいと願います。
いつの日も、雨上がりには輝く若葉を。

雨の音を聞きながら、
雨上がりの森を思い浮かべる、
雨降りの水曜日。

皆様、良い1日を。






2011年5月9日月曜日

感謝の日。






昨日はstudio2065を立ち上げて初の母の日。
おかげさまでたくさんのご予約を頂き、感無量でございます。
本当にどうもありがとうございました。

花屋さんが一年で一番忙しい日。
と同時に、一番幸せを感じる日。

前日にどれだけ遅くまで残業していたとしても、
当日の花屋さんは、笑顔でいっぱいです。
自分のお母さんのために、お花を選んでいるお客さんを見ると、
毎年とても幸せな気分になれるから。
疲れなんか吹っ飛びます。

私が忘れられないのは、10年ほど前の母の日。
4〜5歳くらいの女の子が、道に咲いてるような花をたくさん摘んで、
「これ、きれいにつつんでもらえますか?」って、持ってきたこと。
ラッピングしながら、
ぎゅっと握りすぎた茎や、しんなりした花がとても愛おしく思えました。

たぶんそれにかなう花束は誰にも作れない。。。
母の日の神髄を見た気がしました。

だけど、みんな気持ちは同じ。
みなさんの代理で、気持ちを込めて花を束ねます。

あの女の子の花束に少しでも近づけるように。

まだまだ未熟者の私ですが、感謝を伝えるお手伝いが少しでもできたなら、
本当に嬉しく思います。
そして、そんな私を支えてくれている人たちと、
応援してくれている皆様、このブログを読んでくださっている皆様に、
心から感謝しています。

お母さん、ありがとう。
そして皆様。
本当にありがとうございます。
これからも、studio2065 をよろしくお願い致します。






2011年5月5日木曜日

キングとクィーン。




上段、
かわいいお花に囲まれて、真ん中に鎮座するのは『クィーンプロテア』。
黒で縁取られた白い花びらのように見えるのは、
実は葉が変形した総苞片(そうほうへん)と呼ばれるもので、その中が花。
総苞片は細かい毛に覆われていて、固く、花序を包み込んでいます。
何枚もの総苞片が折り重なって、まるでクィーンのドレスのよう。

プロテアの中でも最もポピュラーなキングプロテアは、下段の写真。
かわいいピンクの総苞片を持つ大きな花。
直径20cmほどのものもあり、ずっしり重いです。
南アフリカの国花にもなっていて、その存在感はさすがキング。
十数枚の総苞片がキングのシンボル。王冠のようです。

クィーンとキング、それから写真にはないけどプリンセスもいます。
いずれもピンクや白の色があり、種類もたくさん。

プロテアの名前は、ギリシャ神話に登場する神、プロテウスに由来しているそう。
プロテウスは自分の意志で姿を自由に変えられる神。

たくさんの種類を持つこの花が、
花の意思で姿を変えているように思われたのでしょうか。

キングもクィーンも。
とても立派で、たくましい花。

はるか古代から崇められていたように感じさせます。
だから神の名前が付いたのかも。

灼熱の太陽の下、乾いた大地に花を咲かせるプロテアたち。

神々しく、迫力のあるその姿は、まさに、God of Flower!

いつか手に取る機会があれば、その堂々たる風格を感じてみてください。