2011年4月29日金曜日

母の日。




もうすぐ母の日。

母の日といえば、赤いカーネーションのイメージが強いですが、
もともとは白いカーネーションを贈ることから始まったそうです。

発祥はアメリカ。
私、勝手に日本のお花屋さんが設定したものだと思ってました。。。
でもちゃんとしたきっかけがあったんです。

簡単に説明すると、
ある女性が、亡き母を偲び、教会で集会を開いた時、
みんなでお母さんが大好きだった白いカーネーションを手向けた、
というのが始まり。だそうです。
ちょっとはしょり過ぎたけど。

そこから、お母さんを労り、感謝する日に設定され、
白いカーネーションを自分のお母さんに贈るようになったんだとか。

日本やアメリカは、毎年5月の第2日曜日が母の日。
フランスは5月の最後の日曜日。

どこの国でも、気持ちは同じ。

今年は5月8日。
お母さんへ、日頃の感謝と愛情を、めいいっぱい伝えましょう。
普段は恥ずかしくて言えないあなたも。

言葉にしなくても、伝わっているかもしれないけれど。
言葉にしてもらうと、やっぱり嬉しいと思うから。

それでも口で言うのは照れくさい・・・、
もしくは、
言葉だけでは伝えきれない!と思う方は、ぜひお花を。

studio2065では母の日用のアレンジやブーケのご予約を承っております。
京都市内の配達、地方発送も可能です。
お気軽にお問い合わせくださいませ。

写真は、白いカーネーションに、新種のシャクヤク。
季節のお花を束ねたブーケです。
ナチュラル感を残しつつ、モダンに。
ご相談に応じて、さまざまなスタイルをご提案いたします。

みなさんのお母さんに、いつもよりたくさん笑顔が溢れますように★





2011年4月27日水曜日

茉莉花の裏切り。




茉莉花=ジャスミン。
日本名でマツリカと呼びます。

ハゴロモジャスミン。
カロライナジャスミン。
マダガスカルジャスミン。

名前にジャスミンと付いている花でよく聞くのがこの3つ。

でも、本当にジャスミンの種類なのは『ハゴロモジャスミン』のみ。
あとの2つは香りが似ているからなどの理由で『ジャスミン』と付いてるだけなんです。

我が家にあるハゴロモジャスミンはまだツボミが固く、上手く写真に撮れませんでした。

なので写真の花は、先日入荷したマダガスカルジャスミン。
よく売っている鉢物は、ツルをワイヤーに這わせて、ドーム状に整えてありますが、
私はいつもほどいてしまいます。。。
ほどいてみると、一本の長いツル。
高い場所から吊り下げて。
そっちの方が私好み。
少し肉厚な葉っぱと、真っ白な花がとてもかわいいです。
今からの季節、たくさんの花を咲かせて、いい香りが楽しめます。

でも、本当のジャスミンじゃないなんて・・・。

カロライナジャスミンは、鮮やかな黄色の花。
別名は『ニセジャスミン』!
なかなかストレートなネーミング。
そっちの方が誤解がなくていいかも。

カロライナジャスミンもいい香りはしますが、強い毒があります。
ここがジャスミンとは決定的に違います。
とは言っても、普通に栽培して楽しむ分には全く問題ないのでご安心を。
よく公園や街路樹の下などに植わっています。
毒はあるわ、別名にニセがつくわだけれど、れっきとしたカロライナ州の州花です!

間違っても、カロライナもマダガスカルも、ジャスミンティーにはしないでくださいね。
ジャスミンじゃないし、毒あるし。。。
本当の茉莉花だけが、ジャスミンティーの花なので。


ジャスミンって付くけどジャスミンではない植物は、他にも色々あります。
例えば『シルクジャスミン』とか、『アメリカジャスミン』。
どれも、花や葉の形が似ていたり、いい香りがしたりでそう名付けられたようです。


やっぱりそれだけジャスミンは、香りやツルを象徴する植物なんだと思います。


『ジャスミン』って付いてるだけで、なんだかいい香りを想像するもの。


このジャスミンの香り成分の一つは、
未だに人工的に作ることができず、
自然の花から抽出するしか方法がないらしいです。
だからとっても高価。


手頃な価格の香水やアロマオイルのジャスミンの香りは、
人工的に作ることができる似た香り成分が使われているそうです。




私が思い出すジャスミンの香り。
それはもしかすると本物じゃないのかもしれない・・・。


皆さんが知っているジャスミンの香りも、
似ているだけの香りかもしれない・・・。


だけど。
裏切られても憎めない、幸せな香り。


玄関先のハゴロモジャスミンが咲いたら、本物を再確認しようと思います。


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2011年4月24日日曜日

熱意の種。




写真の花は『バンクシア』。
オーストラリアの大地に生きる、ネイティブフラワー。
オーストラリアには25mにもなるバンクシアの大木があるそうです。


バンクシアの花には、赤や黄色、オレンジや緑、丸いフォルムから細長いフォルムなど、
様々な種類があります。どれもインパクトのあるものばかり。
大きな木に、こんな花がたくさん咲いてるなんて。
きっと圧巻。


その花が乾き、朽ちたあとには、『袋果』と呼ばれる、いわゆる果実が現れます。
それは木のような質感で、硬く、中に種子を大切に包み込んでいます。


そして、その硬い袋果がはじかれる時。
それは山火事の時。
山火事の火に刺激を受けて、袋果が裂け、
バンクシアは初めてその種子を解き放ちます。


その時が来るまで、種子を守り続け、山と一緒に燃え尽きる。
それと引き換えに新しい命を残していくのです。
まるで、火が全てを燃やすことを知っているかのように。


オーストラリアで山火事が多い原因の一つに、
ユーカリの木の存在。
コアラが食べる、あの葉っぱ。
ユーカリの葉には、他の植物よりも油分が多く含まれているので、
自然発火すると、一気に燃え広がると聞いたことがあります。


そしてまた、ユーカリの種も、
山火事を経験した後に降る雨によって発芽するとか。


山火事で、自分たちの種が絶滅してしまわないように。
燃え尽きた地に自分の種を残す手段。
その熱意。
たぶん何度も何度も繰り返されて、そうなった。


袋果が守っているのは、種と熱意。
小さな種が、その熱意を受け継ぎ続ける。



きっと今もどこかで。
何もない地面から。
新しい芽が伸び始めているはず。


また一から始めればいい。
何度でも。
熱意を持って。


共存して共鳴する。
神秘的な自然の力。

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2011年4月23日土曜日

愛しのリラ。




フランス名で『lilas』リラ。
それが英語に転じて『lilac』ライラック。
日本名は『紫丁香花』ムラサキハシドイ。
正直、ムラサキしか読めません。。。


代表的な薄紫色の花。いわゆるライラック色。
4月〜5月にたくさんの小さな花がフサになって咲く落葉樹です。
とてもいい香りで、この香りは香水などによく使われています。
だから日本名は『紫丁香花』。

リラの花は、筒状になっていて、普通は先が4枚に分かれて花びらになっています。


だけどもし、5枚の花びらを持つ花を見つけたら。


誰にも言わずに、そっとその花を飲み込んで!
そうすれば、愛する人と永遠に過ごせるんだって。
そんな言い伝えがあるリラ。
too much romantic !


そういう言い伝えが生まれても不思議じゃない。
そんなフィーリングを持つ花です。


まっすぐで、無垢で、清々しい。
誰からも愛される愛しのリラ。
雨に濡れる姿まで、見とれてしまいます。
雨降りなのに、得した気分。


柔らかな、春の雨に揺られる花を眺めながら。
私が5枚の花びらを見つけたかどうかは・・・秘密です。


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2011年4月20日水曜日

秘密の花園。




花屋さんになりたいと思ったのは、高校生の時。
きっかけは、趣味で集めていたポストカード。
そのコレクションの中に、カール・ブロスフェルトという
ドイツ人写真家のポストカードがありました。
彼は写真家であり、植物学者。
彼が撮る写真は植物のクローズアップ。
それがとても魅力的で。

もう一つの趣味であった、花器集めが重なって、(集めるの好き!)
いろんな器を集めては、花を活け、写真を撮っていました。
今思うと、小憎たらしい高校生です。

それがいつしか花を活けることが一番楽しくなっていることに気付き、
大学に行ったら、絶対花屋でバイトをしようと決めていました。


念願叶って、大学生になるとすぐ花屋のバイトが決まり、
それから約2年、2軒の花屋で花の仕事を経験します。


そして12年前のちょうど今頃から、
私の人生に多くの影響を与えることになる店で仕事をすることになりました。
それがGris-Gris Flower。


大学3回生から約11年間、お世話になりました。
いろんなことを教わりました。
花の難しさ、厳しさ、そして何より、たくさんの楽しさを。


私が、店舗を持たずとも花屋でいこうと思うのは、
ここでの経験があったからこそ。
私の背中を押してくれる大事な人たちともたくさん出会ったから。


そして今、自分が作ったアレンジを自分で配達して、
「どこのお花屋さん?どこでお店をされてるの?」と嬉しいお言葉を頂戴します。
その時私は、胸を張ってこう答えます。


「店舗はございません。studio2065です。」


高校生の私が思い描いていたのとは少し違う答えかもしれないけれど。
今の私にとっては最高の答え。




studio2065は、店舗を持たずに活動しています。
作業するのは自宅の一室。
そこが私の秘密の花園。
そこで私は花と向き合い、
これからも、頂いたご依頼に全身全霊で取り組んでいく次第です。

今後ともよろしくお願い致します。





2011年4月18日月曜日

鎮魂花。




紫と緑色だけで鎮魂の花を。
それは悲しみを鎮めるためではなく、
祈りを捧げるために。

昔からのしきたりや、風習は大事なことです。
特に冠婚葬祭においては、様々な掟やマナーがある日本。
お花に関しても同じく。

弔事のお花は、基本的に四十九日までは白一色で、というのが昔からの習わし。
だけど最近は、型にはまらず、色のあるお花を贈られることも多くなってきました。
贈る方のそれぞれの思いがあるから、私はいいと思います。
もちろん、受け取られる家族の気持ちをいちばんに尊重しなくてはいけません。
昔ながらの習わしを重んじられる方には、必ずその習わしに従います。

そうでない場合は、
故人が好きだった花、家族の心が和む色など。
アレンジの形も、形式にはこだわらず。
写真のアレンジのように。

今回メインに使ったのは菊と蘭。

お供えのイメージが強い菊ですが、桜と並んで日本の国花。
弔う時にも、祝う時にも使われる高貴な花です。
今は様々な品種改良が施され、色や種類も豊富。
菊を入れることで、厳かで引き締まった印象に。

時代が遷り、花のカタチが変わっても。
亡き人を偲んでお花を。
それだけは今も昔も変わりません。
故人との思い出や、感謝の気持ちはかけがえのないものだから。
その思いに、お花を添えて届けたい。



いつも空から。
あの星はきっと。
ただただ安らかに。
祈りを捧げる鎮魂花。




2011年4月16日土曜日

茎の先のカジョ。





姿勢正しく整列しているのは、フトイ。
細くても、フトイ。
と、ついつい言いたくなるのは私だけじゃないはず。

「太い」ではなく、「太いイグサ」の意味で、『フトイ』です。
でも、イグサ科じゃない。ややこしい。。。

先端に付くのは花序(カジョ)と呼ばれる花の集まり。
アジサイなどのように花がたくさん集まってるものを、花序といいます。
フトイの花序は線香花火みたいで、素朴でかわいいですね。

床の間に置く春らしいアレンジを、というご依頼を頂き、お作りしました。
その床の間のあるお部屋で、結納の儀が交わされるそうです。
そんな大事な場面に、私のアレンジを置いて頂けるなんて。
ほんとに光栄です。ありがとうございます。

今回は縦の空間を活かして、縦長にアレンジ。
少し和の趣きを意識して。
ここで細いフトイが、厚く太い存在感を発揮しています。
そのたもとには、春色のお花を惜しみなく。

かしこまり過ぎず、くだけ過ぎず気をつけながら。
朗らかな空気を、より朗らかにできるようにという思いを込めて作りました。


瑞々しい花たちが、限りない祝福を。
凛と立つフトイは、未来へ導くまっすぐな光のように。

そしてその光の先には。

花序のように寄り添い集まる家族の姿。


ご婚約心からお慶び申し上げます。





2011年4月14日木曜日

意地悪な風。




京都の桜も今が見頃。満開です。
時折吹く風が、桜の花びらを空に舞わせています。
桜を散らす意地悪な風。

人間にとっては意地悪に思えても、植物にとっては大事な役割を果たしてくれる風。

花びらを連れ去って実が成りやすくしたり、
種子を遠くまで運んだり。


カタカナで書かれることが多いお花の名前ですが、
漢字で書かれると「風」が含まれている種類がいくつかあります。
その一つが、写真のお花、『ヒヤシンス』。
漢字で書くと『風信子』、もしくは『飛信子』。
ヒヤシンスは球根の多年草で、風で種子を遠くに運ぶ必要もないのに。
なぜその花に「風」という文字が含まれるのか、気になって調べてみました。


ヒヤシンスの名前の由来はギリシャ神話のヒュアキントスに由来しているそうです。
古代ギリシャで、ヒュアキントスは恋人のアポロンと一緒に円盤投げをしていました。
その楽しそうな様子を見ていた西風の神・ゼピュロスがヤキモチを焼いて、風を起こし、
その風によってアポロンが投げた円盤が軌道を変え、ヒュアキントスの額を直撃。
ヒュアキントスは大量の血を流し、亡くなります。
この時に流れた大量の血から生まれた花、それがこのヒヤシンス。
まさに意地悪な風がもたらした悲しい花。
ヒヤシンスの漢字名に風が含まれる意味が分かった気がしました。


風信子。
甘くふくよかな香りを放つ春の可憐な花が持つ衝撃のエピソード。
ちなみにこの登場人物はすべて男性という、これまた衝撃。
由来がどうあれ、とてもかわいい花なんです。
ピンクに青に白、紫やうす黄色、赤などたくさんの色があります。
私も大好きな花。


風と花の関係。
時に切なく、時に必然。
風に引き離されて、散ったとしても、そこから生まれてくるものがあると信じて。
もう意地悪だとは思わずに、穏やかに桜吹雪を眺めようと思います。


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2011年4月11日月曜日

グリーンの心意気。




たとえば。
着ることでいうと、裾からチラッと見える靴下。
聴くことでいうと、絶妙なバックコーラス。
食すことでいうと、コクの出る隠し味。

ブーケやアレンジを作る上で、そういう存在なのが、『葉』。

お花にかかわる仕事をしている人たちは、
『葉』のことを全般的に、『グリーン』と呼びます。
大きいものも、小さいものも、緑色じゃなくっても。
『グリーン』というのが、役職名。

グリーンで、そのアレンジの印象が大きく変わることもありますし、
グリーンが、主役の花の魅力を際立たせます。
ボリュームを持たせてくれることもあるし、華やかにもしてくれます。
グリーンさまさま!

だけど、花じゃないからね。
理解してもらえないこともあります。。。
葉っぱ入れるなら、その分、花を…と。
花屋に勤めていた頃は、たまに言われました。
もちろん、グリーンがない方が、スタイリッシュになる場合もあるので、
そういう時は初めから入れません。
だけどそうじゃない時に言われると、残念。

しならせたり、丸めたり、重ねたり。
グリーンで動きをつけて、印象付ける。
あくまでメインはお花。
花に目を奪われているその影で、
意識されていないところで、心に残す。
そんなポジション。

座ったときにチラッとのぞく靴下が、
メインボーカルに合わせて心地よくハモるコーラスが、
一口食べて忘れられないあの味が、
私にとっては、とても重要。

グリーンも然り。
目立たないところまで抜かりなく。

そんな心意気で、これからもずっと作っていきたいと思います。



2011年4月8日金曜日

夕焼けの熱唱。




写真のダリアの名前。
『熱唱』。
キレイな夕焼けのようなオレンジ色です。

これくらいはっきりした色には、あっさり同系色でまとめるよりも
濃いめの紫とか、緑色を合わせたくなります。
もちろん、トーンが同じなら、同系の黄色や、暖色系の赤を合わせるのもかわいいです★

だけど今回は、こってり系でいっちゃいます!
写真では分かりにくいですが、熱唱の左側には紫のスイトピー。
右側には緑色のラナンキュラスと蘭のパフィオ。
個人的に、緑色の花は少し個性の強いものが多くて好きです。

一見、南国風に見えますが、これが和の雰囲気にぴったり。
とってもモダーンに。
このこってり系の組み合わせが、和のフィーリングに合うのかもしれません。
着物なんかでもきっとそうですよね。

お客様のお家の立派な掛け軸の前に置いて頂き、アレンジも誇らしげでした。

今回は出張アレンジ。
どういう場所に置かれるのか、
あまり事前情報を持たずに花を数種類選んで持って行ったのですが、
今思えば、このダリアのチョイスは必然だったのかも。。。

夕焼け色のダリアを、夕焼けの中でアレンジするという、嘘みたいなほんとの話。

この日の夕焼けは、ほんとに綺麗でした。